私は、
最近巷でよく聞く「英語脳」という言葉は嫌いだ(よくわからない上うさんくさいから)。
「英語脳」なんてものはあるとは思えない一方で、
「英語耳」というのはあると思う。
「英語を聞き分けられる能力」という意味で。
そこで、こちらの本をご紹介。
『英語耳[改訂・新CD版] 発音ができるとリスニングができる』/松澤喜好
2004年に初版が発行され、2010年に改訂版が出たので、かなりのロングセラーとなっている。
内容
とにかく発音して口と耳を慣らす「発音バイエル」
「正しい発音を練習しまくって耳を鍛えて、リスニング力をつけようぜ!」という本。CD付き。
第1章では発音の重要性が説明されており、
第2章〜第5章が本編の「発音バイエル」編。
日本語にはない、英語特有のいろいろな発音を
口と舌のイラスト&文章での解説つきで
丁寧に説明してある。
例えば、「日本語にはないけど英語にはある音」で代表的な
「æ」。(アとエの間)
舌やあごをどのような位置におけばうまく発音できるのか・・
この本を読めばわかります。
子供ならばいざ知らず、
大人になってからだと「聞いたままマネする」ことが意外に難しいので、
事細かく発音について説明してくれてあるのだと思う。
舌の位置をイラストの通りにしてみるだけでも、
だいぶソレっぽい発音になるのでぜひ試してみてほしい。
初級者はもちろん、
「オレ発音完璧だし」という人でも
一度やってみれば新たな発見があるはず。
実際に、
私はすでに英検一級を持っているが、
この本で勉強すると目からウロコの連続である。
早口言葉なんかもあっておもしろい。
Parrot’s Law
発音バイエルが終わると、
6章は「Parrot’s Law」編。
「Parrot」とはオウムのこと。
歌や会話を100回以上繰り返して口に出すことによって、
「英語を脳に刷り込む」ように学習しようという提案である。
オススメの曲や、
ネットで利用できる音源の紹介もある。
私も著者と同じでビートルズが好きなので、
ビートルズの曲が例示されていてちょっとうれしくなった。
何曲か挙げられているが、Yellow Submarine なんかは子供にも良いと思う。
Parrot’s Lawの具体的な学習法は
著者の松澤さんの実経験も元になっていて、
説得力があると感じた。
松澤さんは英語教育のエキスパートだが、
英語の勉強を始めたのは周りと同じ中学一年とのことなので、
ご本人の英語勉強法はとても参考になると思う。
「小さい頃から英語をやっていた」という特別な人でなくても、
英語学習には問題ないということだ。
英文読書
「英語耳」というタイトルと関係なさそうな「読書」が
英語力を伸ばす上でいかに大切なのか、
どのような力がつくのか、
そしてその具体的な方法が説明されている。
オススメの辞書も。
勝手に5段階評価
星5つ中、
☆☆☆☆☆!!!
文句なし5つ星!
素晴らしい一冊。
それに、学習対象者のレベルを選ばない。
初心者でも上級者でも、
『英語耳』からものすごくたくさんのことが学べる。
さらにはこの本ではなく他の材料(歌や洋書)を使っての学習法も
事細かに書いてくれてあるので、
適切な方法で無限に英語を勉強することができる。
また、
「子供に英語を勉強させたい」と
思う親御さんも多いだろうが、
子供だけでなくやっぱり自分も一緒に勉強したほうがいい。
そして「英語を楽しい」と思うことができたら、
子供も楽しんでくれる可能性大だ。
そんな親御さんたちにもお勧めできる一冊である。
『英語耳』で発音を磨き、
子供の前で「変な英語」を植え付けることのないよう
ぜひ頑張ってみてほしい。
または、子供といっしょに
子供版『英語耳』を使うのもアリだ。
著者が同じで、こちらもとても良い。
レビュー記事はこちら
おすすめ!幼児・小学生用英語教材『親子で学ぼう♪アリスのジュニア英語耳 発音ができるとすべての英語力がUPする』/松澤喜好
まとめ
著者が理系出身だからなのか、文章が明快でわかりやすい。
長々と文章が書いてあるのに、
それを読むのが全く負担に感じないところがすばらしい。
それから、「はじめに」に名言があったので載せておく。
結局、語学の学習の秘訣は「壮大な慣れ」です。
出典: 『英語耳 発音ができるとリスニングができる』松澤喜好
私は
「どうしたら英語ができるようになるのか」
とよく質問されるのだが、
「ごちゃごちゃ言ってないでとりあえずやれよ」
という何とも乱暴かつ曖昧な返答しかできないでいた。
「なぜ英語ができるようになったのか」を
自分でもイマイチよくわかっていなかったからである。
必死に生きてたらいつの間にかみたいな…
○○さえすればオーケー!というのは存在せず、
結局松澤さんの言う通り「慣れ」なんだろうなあと思う。
かなりオススメですので、ぜひ。