今回ご紹介するのはこちらの教材
『イギリスの小学校教科書で始める 親子で英語絵本リーディング』/古川 昭夫・宮下 いづみ
イギリスの子供が~、とか、アメリカの子供が~、とかを謳っている英語学習本は、これまであまり手を付ける気にならなかった。
ネイティブの子供が英語を勉強する方法なんて参考にならねーよという気持ちがあったのかもしれない。
しかしこちらの本はレビューの評価が良いし、絵もなんとなく好みだし…という理由でとりあえず手に取ってみることにした。
教材のレベル・内容
イギリスの小学校で、英語(つまり現地では「国語」)の教科書で使われている話がひとつずつ解説付きで収録されている。
全部で10話。
決まった登場人物が出てくるのだが、続きものというわけではなくて、それぞれの話は独立している。
Stage1 …2話
Stage1+…4話
Stage2…4話
Stage1は8ページ、
Stage2になると16ページに増え、語数も倍以上になる。
身近な話題を、スッキリとして癖のない絵を見ながらCDの朗読を聞く。
その後単語の確認、学んだ表現を使って発展練習。そして次の話へ…という流れで使う。
簡単でわかりやすい
とてもいい教材だ。
「ネイティブの子のための教科書」ということで
ものすごく難しそう…となんとなく思ってしまう人もいるはず。
ところが全然そんなことはない。簡単だ。
例えばStage1の最初のパンケーキのお話は、flour(小麦粉)やeggs(卵)など、単語が並んでいるだけ。
言葉が少なくても場面が絵で説明されているので、楽しめる。
日本の小学1年生の国語の教科書か、それ以下くらい。
Stage2では少し表現が増えるが、それでも一文一文が短くて簡潔。
お話以外も役立つポイント満載
本文だけではなくて、それ以外にもたくさん良い部分がある。
まず話が始まる前の「Reading Guide」。文化が違うので、それについての解説が書いてある。
これを読んでおけば、「なんで最後の場面でお母さんたちがフライパン持って走ってんだよ?」とか「塀の向こうのハゲたおっさん誰?」とか疑問に思わなくて済む。
それから、お話と単語確認が終わると、発音練習やチャンツ(歌みたいにリズムよく本文を読む)コーナーや、
お話に出てきた表現を使って、英語で遊んでみる具体的な方法が紹介されており、これはとても実践的で役に立つ。
文化の違いを学べる
絵は「外国!」という雰囲気が全然なく、とても親しみやすいのだが、
やはり当然ながら話の中身からは文化の違いを感じることができる。家とか店とか、こんな感じなんだな~と大人でも楽しみながら読むことができる。
まず最初の2つの話が、子供も出てくるんだけど親が主役っていうところに少し驚いた。このパターン、あまり日本の話では出てこなくないですか。
まあこれは文化の違いっていうより、著者のハントさんが「国語(英語)嫌いになりそうだった息子のために話を考えた」っていうのが原点だそうなので、ユニークに作られているのかもしれない。
子供よりもイタズラ好きそうなお父さんの顔がおもしろい。
それに、なんでお父さんのエプロンはザリガニプリントなの?と関係ないところに目がいってしまう。
欧米諸国では、ザリガニは少年が汚い川に捕りに行って喜ぶものなのではなく、食べ物なのだろう…
実際に3歳児に使わせてみたところ
幼児なので、単語練習などはせず、
とりあえずテキストを見せながらCDを流してみた。
結構興味を持っていて、
後日また「これCD聞く!」とリクエストしてきたほどだ。
特に、チャンツがあるストーリーはエンドレスで聞いて楽しんでいた。
勝手に5段階評価
5つ星中、
☆☆☆☆。
4つ!
べた褒めしていたくせに、なぜ☆を一つ減らしたのか。
一つめの理由は、
本の大きさ。
うちは子供がまだ幼児だからなのだが、
こういうタイプの本はまだ自分で持ってめくれない。
できれば絵本みたいに、もう少し大きくてめくりやすい形態のものがいいなと思う。
小学生だったらこの点はあまり気にする必要はない。
星を一つ減らした二つめの理由は、
「チャンツバージョンをもっとつけて欲しかった」という点だ。
全10話のうち、2つだけチャンツバージョンが収録されている。
子供を見ていると、朗読とチャンツでは楽しみ方が全然違う。
10話全部についていたらもっと良かったかな、と思った。
まとめ
「英語学習」としてヘタに英語の絵本を買ってくるより、こっちのほうが断然良い。
まず話が短いのがポイント。一般的な絵本だと、一つのお話が結構長いし…
幼児なら単語学習とかはいらないので、CDで本文だけを聞きっぱなしでオーケーだ。
短いので、すぐに覚えられそう。
小学生からは、遊び方の紹介のページも参考にしながら、本文の表現をマネしてどんどん練習すると良いだろう。
子どもに英語の絵本を聞かせてみたいなあ、という方はぜひ。