小学生向け英語教材『小学生のための英語練習帳/旺文社』(CD付)についての内容と感想を書きます。
買ったキッカケ
小3・小5に英語を教える際に、それぞれに一冊ずつわかりやすい教材を用意したかったのと、
一応、英検5級も見据えて、
小学生向けの基礎英語教材を求めて本屋に行きました。
本屋では、こちらの教材はかなり目立つように陳列されていました。
しかも出版は旺文社。英検の教材で有名な出版社です。
私も英検の勉強ではだいぶお世話になったし、なんとなく信頼できました。
なので本屋で軽くパラパラっとだけ見て、
英文法をひととおり順序よく学べそうだったので、買ってしまいました。
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小学生のための英語練習帳(1) アルファベット・英単語・会話 [ 旺文社 ] 価格:918円 |

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価格:918円 |

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小学生のための英語練習帳 3 英語の文 小学英語練習帳 / 旺文社 【全集・双書】 価格:918円 |

内容と正直な感想
「書く」練習が中心です。というかそれしかない。
レベルは英検5級準備程度。
1,2,3の、3冊のシリーズ。CD付き。
『小学生のための英語練習帳/旺文社』1
アルファベット練習のページがガッツリあります。
アルファベットをなぞって、繰り返し書けという指示。
書き順までご丁寧に解説してあります。
セクション1
大文字13ージ、
小文字13ページ。
正直、多すぎるし退屈。
セクション2
「形が似ているアルファベット」を学ぶ(?)。
CとG、EとF、など・・・
アルファベットをこういう風に捉えたことは一度もありませんでした。
「SとZ似てるなあ~」と自分は思ったことが無いし、生徒からも聞いたことが無いです。
子供が「似てる!」と感じるのは、アルファベットの見た目じゃなくて「音」のほうが多いと思います。
PとBとか。
子供の英語学習においては、視覚よりも聴覚の方を大事にすべきではないでしょうか。
セクション後半には、
アルファベットの穴埋め問題や、迷路、あみだくじなど、
遊びを絡めた部分が7ページあります。
こういう学び方は、単調さがないので良いと思いました。
セクション3
アルファベット順に、簡単な単語を学びます。
お手本をなぞって書きます。
セクション4
種類ごとに単語を学び、なぞって書きます。
種類というのは、「家族」「食べ物」「場所」など。
後半には数字、月、曜日も学びます。
教材の前半は初心者向けに長々とアルファベットを書かせていたくせに、
もう月の名前(例:January(1月))を書かせるなんて、ヤケに飛躍しすぎではないでしょうか。
マネして発音するのはわりと誰でもすぐできますが、まだアルファベットにそれほど慣れていない子が
長たらしい単語を書くのは、けっこう苦痛なものです。
セクション5
さらに飛躍し、最後のセクションでは会話表現を学びます。
「Hello」から始まり、「Please open the door.」など。
これも発音するだけならまだわかるのですが、時間をかけて一所懸命文を書いたところで頭に入るとはとても思えません。
『小学生のための英語練習帳/旺文社』2
「英単語」編であり、95ページまでずっと単語学習です。
見開き2ページごとに6単語を学ぶ。
なぞって書く。ひたすら書く。
このやり方はたぶん、いや確実につまらないです。
10ページごとに「やってみよう」という確認ページがありますが。
穴埋めだったり、クロスワードパズルだったり、この部分はけっこう楽しいものになっています。
なので、私の生徒には
単語学習ページはCDを聞いてリピート発音させるだけにして(一切書かせない)
「やってみよう」のページだけやらせていました。
そういう風にしないと、たいていの子供が飽きてしまいます。
『小学生のための英語練習帳/旺文社』3
3は単語ではなく、文章を学びます。
これも、なぞって書く、繰り返し書く、という何とも単調で退屈な学習法です。
内容も、
I am~の文を6つ学んで書いたら、
次はI am not~の文を6つ。
This(That) is~の文を6つ学んで書いたら、
次はThis(That) is not~の文を6つ・・・
よく言えば「丁寧」なのだが、悪く言えばスッゲーつまらない。
小学生に対してこういう勉強法が果たして有効なのか、甚だ疑問です。
文法という点だけ見れば、一応5級レベルを、すべてではないが
カバーしている…かなあ…
小学生が実際使ってみたところ
小3には1を、
小5には3を使ってもらった。
小3はほぼ英語には触れたことが無いし、
小5もほぼ無いが学校の授業でちょっとやるくらい。
レベル的には合っていたのだが、
勉強法的には全く合っておらず、
本屋でパラパラ見ただけで買ったことをかなり後悔してしまいました。
2人とも基本的に「書く」作業が嫌いなのです。
日によっては難なくできることもありますが、たいていは学校で疲れ切っていて、
放課後の英語の勉強で「慣れない英語を書く」という作業に苦痛を感じているように見えました。
しかし買ってしまったのだから何とか活用しようと、
小3の子にはあみだくじなどのページからさせたり、
小5の子には学校ですでにやったページからさせたり。
順序ぐちゃぐちゃでやらせてみました。
そして、あとは
CDを聞いて発音しまくるという使用法に代えました。
マネしてしゃべるだけなら、レベルなどさほど関係ないものです(長すぎる文章は無理ですが)。
2人いっしょに3のテキスト(英文編)をやったりしました。
そうして発音しまくっているうちに生徒は口が疲れてきます。
そのときに、休憩代わりになぞったり書いたりする作業をさせました。
こういう使い方で、なんとか最後まで終えることができました。
と言っても繰り返し書くページは、ほとんど手付かずです。
「発音」と確認ページだけやって進めました。
5段階評価
5つ星中、
☆。
1つ。
手厳しく、ここは最低ランクの1と評価させてもらいます。
「基礎の基礎から始まり、英文法を順々に学び、3冊で5級準備レベルまで到達する」
という教材をきっちり作り上げた大人が満足しているだけのテキストに思えます。
「こどもがどのようにして学ぶか」をちっとも考えていません。
よほど「書くのが好きな子」にはもってこいだが、
そんな小学生には今まで会ったことがありません。
というか、書くのが好きだとしても、
手本通り英文を書きまくったところで、英語力が伸びるとも思えません。
小学生が独力でこの教材を最後まで終わらせるのは到底無理です。
なぜなら退屈だから。
退屈なことを一人で続けられる子供はほぼ皆無。
大人でも金がもらえる仕事でない限り難しい。
さらには、途中のページから急に難しくなるのも
挫折の要因になると思います。
このような理由で、☆は1つ。
まとめ
旺文社というだけで信じた私がバカでした。
「英語初心者の小学生に、英語を学んでもらおう!」という気概が全く感じられない教材でした。
英語にほとんど触れたことのない小学生が
英語を「書く」作業をする意味は、あまりないです。
いや全くないかもしれません。
それよりも、聞いたり発音したりするほうがよほど効果があります。
そういう教材だとこちらがオススメ。
『アリスのジュニア英語耳』
紹介記事はこちら。
子供に英語教材を買う際は、さっと中身を見て、
「書いてばっかりの教材」は避けることをお勧めします。